2007年10月8日
マニラでの記者会見
就籍許可がおりたフィリピン残留日本人(日系2世)の坂本フアニタさん(80歳)、吉川メレシアさん(89歳)が喜びの会見
(左から)吉川メレシアさん、河合弁護士、坂本フアニタさん
9月28日に坂本さん(80歳)に、10月4日には吉川さん(89歳)に、それぞれ東京家庭裁判所から就籍を許可する審判がおりた。10月8日、マニラのホテルでPNLSC代表の河合弘之弁護士から報告を受けた二人は、長年の願いがかなった満足と喜びに満ちた表情で、「先生、ありがとうございます。神様ありがとう」と感謝の気持ちを述べた。   

坂本さんと吉川さんは、家族に付き添われて会見場に現れた。カメラのフラッシュを浴びながら就籍届に署名、捺印すると、吉川さんは「日本の裁判所が私に日本国籍を認めてくれたことを大変うれしく思います。日本財団、そして河合先生、PNLSCの皆さんに感謝を申し上げます。日本人のお父さんのことを思い出します」と話した。また坂本さんは「感謝の気持ちで一杯です。父の祖国を再び訪れたい。子どもや孫のためにもうれしい」と話した。

河合弁護士は「今回のケースは、父親の名前は分かっており、父親が日本人であることは確かなのに、戸籍がどうしても見つからなかったケース。同様のケースがフィリピンにはたくさんあり、それらに応用できる。」と重要性を強調。さらに「裁判所は、遅延登録の身分関係登録証明書やフィリピンの公文書館の記録などを精査した上で、少々の食い違いや名前の記載違いも、フィリピンの実情に照らしてやむを得ない、と善意に解釈してくれた。坂本さんの場合、お父さんが終戦後、米軍の収容所に入ったときの記録、吉川さんの場合、古い家族写真などがあった。裁判所はこれらの資料を見て、確かに父親は日本人だと認定し、決定を出した。」と続けた。最後に「我々は、一点突破、全面展開、という方針で運動をやってきたが、今回の決定で一点突破ができた。同じ方法でやれば、この二人の後に並ぶ数百人の身元未判明の二世たちの国籍が取れる、ということがこれで見えてきた。日本財団の支援を得て、これから“全面展開”し、最後の一人を救済するところまでやる。皆さん是非応援してください」と、今後の展開について力強く語った。
就籍届けに署名する二人(右は日本財団尾形理事長)

記者会見には、2004年以来PNLSCの就籍事業を支援している日本財団より、尾形武寿理事長、佐藤英夫国際協力部長、山田吉彦広報部長の3名も出席した。尾形理事長は、世界に散らばる日系人社会を支援する財団の方針について「同じ日本民族の血を引く同胞が、それぞれの地域でもしも問題を抱えているのであれば、その解決に手を差し伸べるのが私どもの仕事」と説明。「フィリピン日系人の就籍については、本来もっと早くに救済されてしかるべきだったが、皆で力をあわせて一日も早く解決し、幸せな余生を過ごしていただきたい」と述べた。

《この件に関する問合わせ先》 
特定非営利活動法人 フィリピン日系人リーガルサポートセンター(PNLSC)
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